ったく暑い。一時の涼しさがうそのように残暑が盛り返してきた。ついついクーラーを点けてしまう。そうすると必ずどこからともなく雑種犬がやってくる。普段は人間様のベッドだとか、玄関の三和土だとか階段の踊り場とか涼しい場所を探し求めてだれだれと寝ているのだが、スイッチが入るのは今か今かと聞き耳をたてているようだ。
インターホンが鳴っても「おや?」と顔を上げ興味は示すが、まず立ち上がらない。
この日は子供の友人が数人。遊んで欲しくてなんども子供部屋をノックしていたのに入れてもらえなかったようだ。あきらめてリビングでふて寝。大人しいのだが話題の中心になりたくてじわじわと真ん中に座りに行くので邪魔らしい。
子供には嫌がられたが、普段こいつはよほど愛情に飢えているのでは?と思うほど客人にすり寄ってはブリブリと色目を使うので誰にでもかわいがられる。得な犬だ。
親戚の若い娘が腰掛けているとむりむり頭を突っ込んで、ようやくヒザ乗りに成功。相手は妊婦だよ。
そんな風に家の中で過ごしている間、ミニシュナは外を走り回っている。寒さに弱いようで冬に外に出るのは用を足すだけ。出てもすぐに「入れて〜」と爪がはがれるほど(少し言い過ぎた)ドアをガギガギするが、その分夏はほとんど屋外で過ごしている。窓からのぞくと
「何か用っすか?」とこちらを見上げる。が、すぐに自分の用事を思い出し(道に向かって吠えるとか、たわしを放り投げて遊ぶとか)、洗濯物の下をすり抜け、たったとどこかへ行ってしまう。
どうして「雑種犬」チャンはずっと家の中でかわいがられて、「ミニシュナ」チャンは外に出されっぱなしなの?・・とご近所さんや来客が笑いながら聞く。わたしゃシンデレラの継母か。本人の意志なんだよ。
普通、逆だよね・・・、よく言われるが、全くその通り。