トールを教えていた頃、習いに来るのは幼稚園のママさんが多かった。
朝からお弁当を作り洗濯をし、掃除をして、子供を送り届け、その勢いでうちまでやってきてお迎えまでのほんの数時間をしゃべりながら描いて、ぎりぎりに飛び出し行くのだ。考えたらあの時期が一番何かをしたかったような気がする。出産以来我が子とずっと一緒にいたのに、幼稚園に入るとぽっかり時間が空くのだ。自分だけの時間だ。小さいとき学校のプールの授業で最後の5分の自由時間がものすごく楽しかった時みたいだ。来ている人には、そんなにトールがしたいわけではなかろうという人もいた。でも何かをしないと損!と焦っていたのだろう。
あの頃まだ子供を産まず仕事をしながら主婦をしていた友人に「忙しいでしょう?」と言うと「それよりあの子持ちの主婦の時間の使い方に恐れ入る」と言っていたのを思い出す。
だんだん子供が大きくなり一人の時間が多くなると、返って家に一人でいる時間は長い。あわただしいランチも回数が減ってきたし、トールもやめたし、ダレダレと過ごしている。いつでもできると思ったら意外としないもんだ。今しかない!となるとかなりのエネルギーが出てくるらしい。夏休みの宿題と同じだ。
きっと人間とか犬とかの赤ちゃんの世話に明け暮れることになったら、時間が惜しくて有効に使えるかも知れない。
人間の子の世話って・・次は孫か・・・。まだずいぶんと時間がある。